【注意】セントラル浄水器を井戸水で使える?
「セントラル浄水器で井戸水は使えるんでしょうか?実は、一軒家をリノベーションして住もうと計画しています。敷地内に井戸があるんですが、できれば井戸水を生活水として使いたいと思っています。注意点などがあれば詳しく教えてください。」
「セントラル浄水器の井戸水での利用に関するお問い合わせは結構いただきます。では、その気になる疑問に関してお応えします。」
まずは自己紹介
弊社、株式会社メイプル・リンクは、創業33年のセントラル浄水器メーカーです。セントラル浄水器『ソリューヴ』の企画・製造・販売を行なっております。長年セントラル浄水器の販売を行なっている弊社が、気になる疑問についてお応えします。
【結論】井戸水で浄水器を使うには飲用可能な井戸水であることが前提
井戸水をセントラル浄水器でろ過して使いたいというお問い合わせは多くいただきますが、飲用可能な井戸水であることが前提です。「飲用」とは飲み水はもちろんのこと、生活水として使うことを指していますが、この「飲用可能な」ということを調べるには、各地域の保健所の水質検査で行うことができます。当然ですが、保健所は安全性や衛生面を考え水道水の利用を推奨しています。
井戸水を使うには、水質検査の結果、飲用として使用できることを証明することはもとより、定期的な水質検査と衛生管理が必要になります。
以下は東京都保険医療局の指導要綱です。各地域によって対応は異なりますので、詳しくはご自身の地域の保健所にご確認ください。
井戸水はその土地から得られる貴重な資源ですが、有害化学物質の地下浸透、井戸周辺の整備不良などが原因で汚染されるおそれがあります。また、地域によっては自然由来の有害物質が検出されることがあります。東京都では、飲用に供する井戸等の適正管理と汚染時における措置を定め、井戸等の飲み水の衛生確保のため、「飲用に供する井戸等の衛生管理指導要綱」に基づき、指導しています。
東京都保険医療局 「飲用に供する井戸等」
東京都保険医療局の井戸水に関する指導要綱によると、「飲用の定義」は飲用とは飲み水や炊事用(水道や井戸水を使った料理・食器洗いなど)を指し、浴槽水やトイレ用水、散水などは含まれません。また「飲用井戸の種類」には2種類あり、専用井戸(水道がない場所で飲用に専ら使われる井戸)と、併用井戸(水道水と井戸水を併用している井戸)になります。
「都市部から引っ越してきたんですが、自然豊かな地域で水も綺麗なので、できれば使いたいなと思っていました。」
井戸水に対する対応はセントラル浄水器メーカーごとに対応が異なる
「井戸水の使用に関しては、各メーカーごとに対応が異なっているので、使えるのかどうか迷ってしまって…。」
井戸水は個々に水質の環境が異なります。本来であれば、私たちが使う水道水は、河川やダム湖や地下水の水源からの水を浄水場で浄水し、私たちの家庭には浄水された安全な水が供給されています。その際、公衆衛生上の観点で、水道法で定められた基準の塩素が投下され、水道管を通って供給されます。その管理された水道水を、私たちは使用量に応じて有料で使っています。
井戸水を使うということは、この最上流である水源の水を直接使っていることと同じになりますので、先ほどの保健局の引用にあるように、有害化学物質の地下浸透、井戸周辺の整備不良などによる被害が懸念されるのです。
「なるほど。少し簡単に考えていたような気がします。」
各浄水器メーカーで対応が異なる理由は、井戸水を使うことはリスクの全容が見えない状態なので、製品の仕様の範囲を越える利用になってしまう可能性があるからです。
「なるほど。」
ほぼ全ての家庭用の浄水器は、水道水を前提に作られています。つまり、安全性の一定基準は保たれた状態の水道水を、更に個々のニーズに応じて品質を上げて使用したい場合に使うのが浄水器です。
例えば、先ほどのお話のように各地域によって水質は異なりますので、残留塩素濃度や配管の老朽化などの状態も異なります。水道水内の塩素が起因するカルキ臭やまずさ、トリハロメタン、塩素の酸化作用で起こる赤錆や配管内のゴミや有機物など、それらを更に除去・改善したいといった理由で一般的な浄水器は使われます。つまり、浄水場の補完機能が家庭用の浄水器の役割で、住まいの二つ目の防波堤とも言えます。
一方、水質がどんな状態かもわからない井戸水を使うということは、水源の水を浄水場を通さず直接使うわけですから、リスクも高まります。そして、その安全管理は井戸の所有者自身で行う必要があります。
井戸水でセントラル浄水器を使いたいということは、井戸水をそのまま使うことには抵抗があるということですから、家庭用の浄水器のみで浄水場の機能を代替するようなものです。そうなると、通常の使用に比べてフィルターの消耗も激しくなることが想定できますし、水質の状態によっては、浄水器ではろ過できないような物質や細菌が混入している可能性も否めません。そういった背景が、リスク管理としてメーカーごとに対応が異なる理由の1つになっています。
「わかります。そうですよね。」
2020年に環境省が有機フッ素化合物であるPHOS/PFOAの日本全国の汚染状況を調査した内容を報道発表しました。弊社では、一早く検証するために、セントラル浄水器『ソリューヴ』のこれらの物質に対する除去機能を把握すべく、第三者検査機関にて検査を行いました。詳しくは以下のページをご覧いただければと思いますが、この時環境省は、通常の水道水の利用に関しては問題ないと発表しましたが、地下水などの利用に関しては注意喚起を行っていました。
【試験結果あり】有機フッ素化合物は浄水器で除去できるか試験なお、暫定的な目標値を超過した地下水・湧水は、いずれも飲用用途の水ではありませんでしたが、関係地方公共団体に対し、井戸の所有者等への飲用に関する注意喚起を依頼しました。
「なるほど。素人判断で、自然の湧水的な感覚で綺麗で美味しい水だと思い込んでいました。でも、それでも使いたい場合の対策はないのでしょうか。」
「井戸水への対応は各メーカーによって異なりますので、各メーカーにそれぞれお問い合わせいただく必要があります。その上で、弊社セントラル浄水器『ソリューヴ』の場合に関してお応えします。」
飲用適合の井戸水で、塩素消毒の上セントラル浄水器『ソリューヴ』を使う
「まず、弊社セントラル浄水器『ソリューヴ』の設置基準は、水道水を基本していますので、井戸水での利用はあくまで対策としてのご提案になります。」
井戸水でお使いいただく条件は、設置前に定期的な塩素投入による殺菌を行い、保健所などの公的機関での水質検査の結果「飲用」として適合した場合のみとしております。保健所の対応と同じく、井戸の安全管理はお客様にてお願いしております。
また、井戸水の場合、ミネラルの内容によっては、フィルターの消耗が早くなる場合もあります。なお、水道局では、水道水あるいは飲料に適している水においても、使用しない時間が24時間を越える場合は30秒~1分程度水栓の開放を促しています。
これは、塩素が揮発性の物質であるため、水道管の中に残留する塩素が消失してしまっていることを考慮したものですが、細菌の問題だけではなく、水道管から溶出する科学物質等への懸念もあり、使用しない時間が長い場合は一定時間水を放出するように推奨しています。
「なるほど。では、浄水器を使う前に、塩素消毒する設備が必要ということですね。確かに、どんな水質かわからない中での使用となれば、基準の仕様の範囲を越える場合もあるので、フィルターの消耗も激しい可能性もありますね。」
まとめ
「いかがでしたでしょうか。セントラル浄水器を井戸水で使う場合の注意点がお分かり頂けましたでしょうか。」
「はい。わかりました。確かに浄水場を通さず直接使うわけですから、リスクを踏まえて管理しなければなりませんね。まずは、水質検査をしてみようと思います。その上で検討してみます。」
「セントラル浄水器についてまとめた記事もありますので、そちらも是非一度ご覧ください。また、弊社のセントラル浄水器『ソリューヴ』に関して特設サイトもご用意しておりますので、ご検討の際は是非ご覧ください。」
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