浄水場の7割は高度経済成長期に整備された
「最近、水道の民営化など、これまで当たり前に使えていた水道水が今後どうなるか不安です。ちなみに、日本の浄水場ってどのくらいあるんでしょうか。」
「確かにこれは気になる部分ですね。 では、公式資料をもとに解説していきます。」
まずは弊社のご紹介
弊社、株式会社メイプル・リンクは、創業33年のセントラル浄水器メーカーです。セントラル浄水器『ソリューヴ』の企画・製造・販売を行なっております。長年セントラル浄水器の販売を行なっている弊社が、気になる疑問についてお応えします。
令和1年度集計で8,636ヶ所
以下の資料を参照すると、令和1年時点で、全国8,636箇所となっています。平成13年から平成27年は、約15年かけて5,174ヶ所から5,751ヶ所と微増である一方で、平成28年から数年で8,636ヶ所まで増加しました。これは、簡易浄水事業の上水道事業への統合が主な原因のようです。
浄水場数合計は平成23年度までは増加傾向にあったが、平成24~25年度は前年度に比べてやや減少している。一方、平成26年度以降は、「消毒のみ、緩速ろ過、急速ろ過、膜ろ過」全てで浄水場数は増加という結果となっている。これは、簡易水道事業の上水道事業への統合に伴う増加が主たる理由であると考えられる。
公益財団法人 水道技術研究センター 「全国でみた浄水場数の推移(平成13年度~令和元年度)」より引用
「統合による増加なんですね。」
浄水場の7割は高度経済成長期に整備された
以下の東京都の資料から、浄水場のほとんどは、高度経済成長期の昭和35年から昭和50年の間に整備されているのがわかります。集中的に整備された期間がこの期間ということで、表から分かるようにそれ以降は令和に入るまで、この規模感で追加整備されていません。
「先ほどの資料と合わせると、関連性が見えてきますね。やはり、人口減少などの問題と関係があるんでしょうか。」
「では、現在どんな課題があるのかみてみましょう。」
水道事業の課題
人口減少
人口減少は水道事業だけの問題ではありませんが、水道事業にかかる施設費、設備費などのコストは、給水人口と水道料金で賄います。時代に即した需要やコストの検討を行い、維持すべき施設能力を見直していく必要があります。
水道管の老朽化
水道管の老朽化です。令和3年度全国水道関係担当者会議では、法定耐用年数である40年を超えているものは、距離にして138,983km(令和元年度時点)と発表されています。これは北海道の稚内から沖縄県の那覇までを3,400kmとした場合約40回分。つまり日本列島縦断往復20回分の距離になります。
因みに、令和元年の更新実績は4,862kmで、更新率にして0.67%となっています。管路経年化率は19.1%に上昇している一方で、管路の更新率は0.67%まで低下している状況です。
厚生労働省資料 「令和3年度全国水道関係担当者会議」より引用
「更新作業も大変ですね。」
職員などの人材不足
職員の人材不足です。こちらは厚生労働省の資料によると、水道事業に携わる職員数はピーク時と比較して、39%程度減少しているようです。
全国に約4,300の水道事業が存在。小規模で職員数が少ない水道事業者が非常に多い。
水道事業に携わる職員数は、ピークと比べて39%程度減少している。
「ピークが1980年なのですね。一方で、人口減少で給水需要も少なくなっているので、供給側も調整されるとなると、どこでバランスするかという見方もできますね。」
「この他にも地震などの自然災害や異常気象への対策なども課題として挙げられています。」
「なるほど。」
まとめ
「いかがでしたでしょうか。浄水場について公式資料をもとに解説しました。」
「人口減少による需要減は確かに課題ですが、時代に即した見直しの必要性もあるのかもと感じました。」
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