【環境省】有機フッ素化合物の血中濃度の全国調査をみる
「最近、有機フッ素化合物PFASのニュースをよく見るので、ちょっと心配になっています。完全に防ぐことはできないものかもしれませんが、少しでも対策はしたいなと思い始めてます。実際、自分たちにどのくらい影響があるのか気になりますね。」
「最近特に、東京都や神奈川や大阪、沖縄県などの一部の地域で問題になり頻繁にニュースで取り上げられています。環境省では、以前より『化学物質の人へのばく露量モニタリング調査』という調査報告書の中で有機フッ素化合物に関しての情報も公開しています。直近の資料がありますので、そちらをみてみましょう。」
まずは自己紹介
弊社、株式会社メイプル・リンクは、創業33年のセントラル浄水器メーカーです。セントラル浄水器『ソリューヴ』の企画・製造・販売を行なっております。長年セントラル浄水器の販売を行なっている弊社が、気になる疑問についてお応えします。
『化学物質の人へのばく露量モニタリング調査』はどんな調査?
「環境省が行なっている調査報告書で、特定の化学物質がどれだけ人の体内に入っているかを、地域ごと物質ごとに調査しています。この調査では「有機フッ素化合物」も重要な項目として対象に入れて結果も公表しています。」
環境省環境保健部環境リスク評価室では、化学物質の人へのばく露量を明らかにするため、「化学物質の人へのばく露量モニタリング調査」を行っています。
環境省 「化学物質の人へのばく露量モニタリング調査」より引用
「興味深い調査ですね。」
令和3年の結果を見てみる
「では具体的な調査内容を見てみましょう。」
環境省環境保健部環境リスク評価室では、我が国における化学物質の人へのばく露量を把握し、環境リ スク評価や環境リスク管理施策の検討に資する基礎情報を得るため、継続的に「化学物質の人へのばく露量モニタリング調査」を行い、データを集積しています。
環境省 「平成30年度~令和3年度化学物質の人へのばく露量モニタリング調査(パイロット調査)結果について」より引用
調査概要
調査の流れは、地域、性別、年齢ごとに対象者の血液と尿を採取し、化学物質の濃度を測定します。その後、アンケート調査を行うという流れです。
調査対象地域
日本全国を5ブロック(北海道・東北ブロック、関東・甲信越ブロック、東海・北陸・近畿ブロック、中国・四国ブロック、九州・沖縄ブロック)に分け、そのうちの3ブロックを選定し、大都市(人口50万人以上の都市)1地域と中小都市(人口50万人未満の都市)2地域を選定して調査を行いました。
環境省 「平成30年度~令和3年度化学物質の人へのばく露量モニタリング調査(パイロット調査)結果について」より引用
対象者数と年齢
令和3年は、121人の男女で平均年齢は、43.2歳です。
環境省 「平成30年度~令和3年度化学物質の人へのばく露量モニタリング調査(パイロット調査)結果について」より引用
採取方法
血液は、医師立会いの下、看護師等の有資格者により採血。尿に関しては、採血日の起床してから最初の尿を採尿。
有機フッ素化合物の直近の調査内容は?
分析方法と検出下限値
環境省 「平成30年度~令和3年度化学物質の人へのばく露量モニタリング調査(パイロット調査)結果について」より引用
調査結果
とりわけ問題視されているPFOA、PFOSの調査結果は以下です。測定結果は化学物質ごとに、全血中及び血漿中濃度を測定。その平均値・標準偏差・中央値・範囲を先ほどの3つの地域に分けて出しています。
PFOAの全血中濃度の全国平均は、1.2ng/mLで、最低は0.23ng/mL最高は3.5ng/mL。PFOSの全血中濃度の全国平均は、2.1ng/mLで、最低は0.65ng/mL最高は8.5ng/mL。
PFOAの血漿中濃度の全国平均は、2.2ng/mLで、最低は0.41ng/mL最高は6.2ng/mL。PFOSの血漿中濃度の全国平均は、3.9ng/mLで、最低は1.1ng/mL最高は14ng/mL。
環境省 「平成30年度~令和3年度化学物質の人へのばく露量モニタリング調査(パイロット調査)結果について」より引用
環境省 「平成30年度~令和3年度化学物質の人へのばく露量モニタリング調査(パイロット調査)結果について」より引用
過年度のデータも
「この報告書には過年度の比較もレポートされており、過去の数値も見ることができます。」
平成20年度~平成22年度の調査結果(対象者数:609人)
PFOAの全血中濃度の平均は、3.0ng/mLで、最低は0.37ng/mL最高は25ng/mL。PFOSの全血中濃度の平均は、7.8ng/mLで、最低は0.73ng/mL最高は150ng/mL。
PFOAの血漿中濃度の平均は、5.6ng/mLで、最低は0.66ng/mL最高は46ng/mL。PFOSの血漿中濃度の平均は、14ng/mLで、最低は1.3ng/mL最高は280ng/mL。
平成23年度~平成28年度の調査結果(対象者数:406人)
PFOAの全血中濃度の平均は、2.2ng/mLで、最低は0.27ng/mL最高は13ng/mL。PFOSの全血中濃度の平均は、4.1ng/mLで、最低は0.29ng/mL最高は17ng/mL。
PFOAの血漿中濃度の平均は、4.1ng/mLで、最低は0.41ng/mL最高は28ng/mL。PFOSの血漿中濃度の平均は、7.5ng/mLで、最低は0.48ng/mL最高は33ng/mL。
環境省 「平成30年度~令和3年度化学物質の人へのばく露量モニタリング調査(パイロット調査)結果について」より引用
環境省 「平成30年度~令和3年度化学物質の人へのばく露量モニタリング調査(パイロット調査)結果について」より引用
「令和3年の結果もさることながら過去の数値の高さに驚いています。そもそも、この数値が高いのか低いのか他国との比較があればわかりやすいのですが…。」
ちなみに、有機フッ素化合物の水道水内の日本の目標値は、飲料水でも50ng/L(2023年2月現在)ですが、米国環境保護庁(EPA)は2022年に、「有機フッ素化合物」の規制値を大幅に見直し、これまでの飲料水に関して、PFOSとPFOA合算の70ng/Lから暫定値としてPFOAが0.02ng/LでPFOSが0.004ng/Lに大幅改訂されました。これにより、日本の数値が高いままとなり、その後の動向が注目されています。詳細は以下のページにまとめてあります。
多摩の有機フッ素化合物問題と米国の規制値大幅修正をみる「えっ。そうなんですね。知らなかった。」
「ちなみに、血中濃度に関してはドイツが基準値を定めたそうです。」
ドイツでは、PFOSが20ng/mL、PFOAが10ng/mLを超えると健康に影響があるレベル
ドイツでは、血中濃度に関して以下のような基準を設けている模様です。
日本国内には血中濃度の基準はないが、ドイツでは1ミリリットルあたりPFOSで20ナノグラム、PFOAで10ナノグラムを超えると、「健康に影響があると考えられるレベル」であり、「緊急にばく露軽減策をとる必要がある値」と定めている。
沖縄テレビ放送株式会社 「PFASの血中濃度検査では“全国平均の3倍のPFOSが検出” 県民を守るために詳細な検査が求められている」より引用
身の回りの水から高濃度のPFASが検出される中、すでに人体にも入り込んでいるのではないか。
こうした疑問を抱いた市民グループ「PFAS汚染から市民の命を守る連絡会」が、ことし6月から、基地周辺に住む人など387人を対象に血液検査を実施し、10月に結果を公表しました。
結果は衝撃的なものでした。
PFASのうち、PFOSなど3つの物質の血中濃度を調べたところ、宜野湾市や北谷町など基地周辺の5つの自治体で、最も高い人で110.9ng/ml、平均でも21.3ng/mlが検出されたということです(※PFOS、PFOAなど3つの化合物の合算値)。
2021年度に環境省が行った全国調査の平均値(7.1ng/ml)と比べ、3倍になっています。
さらに、世界で唯一血中濃度の基準を定めたドイツの値ではPFOS:20ng/ml、PFOA:10ng/mlですが、その基準に照らし合わせると、27人が「健康リスクがある」と指摘されるレベルでした。
市民グループの代表は「住民のPFASの値が高くなるのは、基地が理由だということが明らかだ」と話したうえで、行政がより大規模な調査に乗り出すことを求めています。
NHK 「“有害”化学物質PFAS各地で波紋広がる」より引用
「過去のデータを見ると最大値でとても高い数値を出しているケースも見られますよね…。そもそも、これは全国の数値で、有機フッ素化合物に関しては地域性が強い印象です。リスクの少ない地域と高い地域を合算した平均値と、リスクの高い地域のみでの平均値は、違うような気がしますね。そもそもこれは、血中濃度なので、数値以前に微量でもない方がいいんですが、これってすでに体に取り込まれてしまっている量ってことですよね。やはり、これ以上蓄積したくないですね…。」
「そうですね。実際にPFASが検出されてニュースでも話題になった東京都多摩地区で行われた血液検査では、基準を大きく上回る結果が出たようです。」
まとめ
「いかがでしたでしょうか。環境省が公開している調査報告書を見てみました。」
「はい。よく分かりました。このような調査報告書は普段見る機会がないので参考になります。ニュースを通じて意識が高まったので、まずは自分たちの生活でできるところから見直していこうと思います。」
「弊社のセントラル浄水器『ソリューヴ』は、一般の浄水器とは異なり、一台で住まいの全ての水道水が浄水できる浄水器です。「生活水全体の浄水」をご提案する中で、今回の問題は各メディアでも大きく取り上げられたこともあり、除去性能の把握を目的に試験を行いました。セントラル浄水器については、具体的にまとめたページもご用意しておりますので、そちらも是非一度ご覧ください。」
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