おいしい水研究会とおいしい水の水質要件とは何?
「浄水器は嗜好品だと言われてきましたが、昨今の水道環境を考えると、もはやその域ではないような気もしています。そもそも、おいしい水の定義自体あるんでしょうか。」
「確かに気になりますね。では、解説します。」
まずは自己紹介
弊社、株式会社メイプル・リンクは、創業33年のセントラル浄水器メーカーです。セントラル浄水器『ソリューヴ』の企画・製造・販売を行なっております。長年セントラル浄水器の販売を行なっている弊社が、気になる疑問についてお応えします。
「おいしい水研究会」とは
おいしい水を求める声は日本の高度成長期に高まりました。この時期、水道水の品質が低下し、多くの家庭で水の味に不満が生じていました。この状況を受けて、昭和59年(1984年)に厚生省(現在の厚生労働省)が「おいしい水研究会」を発足させました。この研究会の目的は、水道水の品質を分析し、具体的な基準を定めることで、おいしい水を提供するための指針を示すことでした。
おいしい水研究会の活動とその背景
昭和50年代後半、日本の水道水に対する不満が高まりました。工場や家庭からの排水により水源が汚染され、水道水にカビ臭やカルキ臭が生じていたのです。この状況を改善するために、「おいしい水研究会」が設立されました。
研究会は、利き水会や作業部会を通じて、水質と水の味、全国のおいしい水道水の選定・評価、おいしい水の水質要件、水のおいしい飲み方などについて検討を行いました。そして、昭和60年(1985年)においしい水の要件を発表しました。
昭和50年後半、水道水における異臭味の発生、あるいは国民の嗜好の高度化に伴い、「おいしい水」を求める声が多く聞かれるようになった。これに応えようと、厚生省は水道の専門家や識者11人で構成する「おいしい水研究会(座長=鈴木武夫・国立公衆衛生院長)」を昭和59年6月11日に発足させ、利き水会1回、作業部会2回、研究会3回を開いて、①水質と水の味②全国のおいしい水道水の選定・評価③おいしい水の水質要件④水のおいしい飲み方――について検討を行い、その結果を昭和60年4月24日に提言した。
「へぇ。そんな会が公式で発足されていたんですね。知りませんでした。」
おいしい水の水質要件
おいしい水研究会は、水質を7つの項目に分類し、それぞれの要素に対して具体的な数値を定めました。この7つの項目は以下の通りです。
1.水温
おいしい水は、20℃以下の水です。しかし、冷えすぎると旨味を感じにくくなるため、適度な温度が重要です。
2.残留塩素
水道水の消毒に使われる塩素が残っている量を示します。残留塩素が多いとカルキ臭が強くなり、水がまずく感じます。
3.硬度
水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を示します。硬度が高い水は口当たりが重く、苦味を感じることがあります。
4.蒸発残留物
水が蒸発した際に残る物質の量です。適度に含まれているとまろやかさを感じますが、多すぎると苦味や渋みが増します。
5.過マンガン酸カリウム消費量
水に含まれる有機物の量を示します。この数値が高いと渋みがあります。
6.遊離炭酸
水に溶けている炭酸ガスの量です。多すぎると刺激が強くなり、まろやかさを感じにくくなります。
臭気度
消毒用の塩素以外の臭いの度合いを示します。臭気度が高いと異臭を感じます。
「おいしい水のための要件があるんですね。」
おいしい水の具体的な基準
おいしい水の具体的な基準として、以下のような数値が設定されました。
・蒸発残留物: 30~200 mg/L
・硬度: 10~100 mg/L
・遊離炭酸: 3~30 mg/L
・過マンガン酸カリウム消費量: 3 mg/L以下
・臭気度: 3以下
・残留塩素: 0.4 mg/L以下
・水温: 最高20℃以下
これらの基準は、日本全国の水道水がほとんどこの範囲に収まっていることを確認した上で設定されました。
おいしい水を提供するための取り組み
東京都水道局は、おいしい水を提供するためにさまざまな取り組みを行っています。例えば、水源の汚濁防止、水道水の品質管理、定期的な水質検査などが行われています。また、水道水の味を向上させるために、適切なミネラルバランスを保つことや、臭気や残留塩素の管理も行われています。水質要件の各項目の詳細は以下です。
1.水温
水温は飲み心地に直接影響を与えます。冷たすぎると口の中がマヒし、味を感じにくくなります。一方、温かい水は不快感を与えることが多いです。したがって、おいしい水の理想的な温度は20℃以下とされています。
2.残留塩素
残留塩素は消毒のために使用される塩素の残留量を示します。塩素は水道水を安全に保つために重要ですが、その臭いや味が強すぎると飲み心地が悪くなります。適切な残留塩素濃度は0.4 mg/L以下とされています。
3.硬度
硬度は水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を示します。硬度が高い水は「硬水」と呼ばれ、口当たりが重くなります。硬度が低い水は「軟水」と呼ばれ、まろやかな味わいが特徴です。おいしい水の硬度は10~100 mg/Lが理想とされています。
4.蒸発残留物
蒸発残留物は、水が蒸発した際に残る物質(主にミネラル)の量を示します。これらの物質は適度に含まれていると水にまろやかさを与えますが、多すぎると味が重くなり、渋みや苦味を感じることがあります。理想的な範囲は30~200 mg/Lです。
5.過マンガン酸カリウム消費量
過マンガン酸カリウム消費量は、水に含まれる有機物の量を示す指標です。有機物が多いと渋みや不快な味を感じることがあります。この数値は3 mg/L以下が理想的です。
6.遊離炭酸
遊離炭酸は水に溶けている炭酸ガスの量を示します。炭酸ガスは水にさわやかさを与えることがありますが、多すぎると刺激が強くなり、まろやかさを失います。理想的な範囲は3~30 mg/Lです。
7.臭気度
臭気度は水に含まれる異臭の度合いを示します。これは水の飲み心地に大きな影響を与えます。臭気度が高いと異臭を感じ、不快な飲み心地になります。理想的な臭気度は3以下とされています。
おいしい水研究会の意味
おいしい水研究会は、日本の水道水の品質を向上させるために設立され、水質要件を明確に定めました。これにより、多くの家庭で安心しておいしい水を飲むことができるようになりました。おいしい水の要件を満たすためには、水温、残留塩素、硬度、蒸発残留物、過マンガン酸カリウム消費量、遊離炭酸、臭気度の7つの項目を適切に管理することが重要とされています。
【参考文献】
「おいしい水を科学する」
東京都水道局「おいしさに関する水質目標」
日本水道新聞社「第43回 おいしい水の要件を提言」
和泉市上下水道部「おいしい水の要件 」
まとめ
「いかがでしたでしょうか。おいしい水研究会とおいしい水の水質要件について解説しました。」
「はい。よく分かりました。」
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