水道水の六価クロムってなに?
「ニュースで水質検査の改ざん問題で六価クロムが話題になっていますが、六価クロムってなんですか?」
「確かに気になりますね。では詳しく調べてみます。」
まずは自己紹介
弊社、株式会社メイプル・リンクは、創業33年のセントラル浄水器メーカーです。セントラル浄水器『ソリューヴ』の企画・製造・販売を行なっております。長年セントラル浄水器の販売を行なっている弊社が、気になる疑問についてお応えします。
「六価クロム」検査結果を改ざん問題とは
ニュースでも話題になったこの問題は、水道水で4年前から基準を超える六価クロム化合物が検出されていたにもかかわらず、今年4月まで対策が講じられなかったことに始まります。また、水道課の職員が検査結果を隠蔽するために純水でサンプルを薄めて再検査していたことが発覚しました。
由利本荘市の水道水から有害物質の「六価クロム化合物」が基準を超えて検出されたにもかかわらず対策がとられていなかったで、市は14日、担当職員や上司など24人を処分したことを明らかにしました。
由利本荘市の6世帯17人が利用する東由利地区大台集落の水道水では、4年前から国の基準を超える有害物質の「六価クロム化合物」が検出され、市はことし4月まで対策をとっていなかったことを明らかにしていました。
また、水道水の検査をめぐっては、国の基準を超える「六価クロム化合物」が検出されたあとに、水道課の担当職員が水道水に化合物の入っていない純水を加えて薄めた後に2回目の検査を行っていたとして、三森隆副市長は「隠ぺいと捉えられてもしかたがない」と謝罪し、市は原因の解明に取り組んでいました。
NHK 「由利本荘市職員24人懲戒処分 水道水 六価クロム化合物問題」より引用
「このニュース見ました。実際、住んでいたらとんでもない話です。何より希釈して改ざんというのは…。」
その他にも、土壌汚染の問題など最近増えています。
岐阜県は8日、各務原市川島竹早町のエーザイ川島工園の土壌から、国の基準値を超える六価クロムを検出したと発表した。
岐阜地域環境室とエーザイによると、同社が研究棟の増築工事に向けて土壌を調べたところ、土壌溶出量で基準の最大1・8倍の六価クロムを検出した。
県は市と連携して、半径500メートルの家庭と事業所を対象に井戸水の利用状況と水質を調べる。結果判明まで飲用を避けるよう呼び掛ける。
中日新聞 「各務原のエーザイ川島工園で六価クロム 国基準の1.8倍検出」より引用
「最近、PFASなど有害物質検出のニュースが結構増えてますよね。そもそも六価クロムって何ですか?」
特徴と用途
六価クロムとは何?
六価クロムとは、クロムの一種で、非常に毒性が強く、自然界にはほとんど存在しない金属です。主に工業活動から発生し、飲用水に混入することがあります。六価クロムは強力な酸化力を持ち、メッキ、染料、皮革、織物の加工など多くの工業用途に使用されます。水道水における六価クロムの基準値は0.02mg/L以下に定められています。
「飲用水に入る可能性があるんですね…。で、基準値を設けていると…。」
健康への影響
六価クロム化合物の毒性として、溶液にさわったり、非常に細かい粒子を含む蒸気を吸い込むことによって、手足、顔などに発赤、発疹が起こり、炎症が生じることが知られています。また、鼻の粘膜やのどへも炎症が生じやすく、ひどくなると鼻中隔の内部の組織にまで炎症が及ぶことがあります。
発がん性について、国際がん研究機関(IARC)は六価クロム化合物をグループ1(人に対して発がん性がある)に分類しています。日本でも、クロム酸製造従事者における肺がんが職業がんとして認定されています。
以上のような健康影響に基づいて、水道水質基準や水質環境基準が設定されています。
人が一般的に六価クロム化合物を体内に取り込む可能性があるのは、飲み水や呼吸によると考えられます。六価クロム化合物は細胞膜を透過しやすいので体内に吸収され、細胞内では直ちに三価へ還元された後、蓄積されたり、尿に含まれて排せつされると考えられます。また、飲み水によって体内に取り込んだ場合の排せつは比較的早いとの報告があります。
渋川市 「六価クロムについて」より引用
六価クロムの健康への影響は深刻です。六価クロム化合物に触れたり、その蒸気を吸い込むと、皮膚に発赤や発疹、炎症が生じることがあります。鼻や喉の粘膜にも炎症を引き起こし、重症化すると鼻中隔の組織まで炎症が広がることもあります。また、六価クロムは発がん性があり、国際がん研究機関(IARC)はこれを「人に対して発がん性がある」としてグループ1に分類しています。日本でも、クロム酸製造従事者の肺がんが職業がんとして認定されています。
六価クロム化合物は飲み水や呼吸を通じて体内に取り込まれやすく、細胞膜を透過しやすいため、体内に吸収されます。体内では三価クロムに還元され、蓄積されたり、尿から排出されます。これらの健康影響を防ぐために、水道水質基準や水質環境基準が設定されています。
「有害ですね…。」
水質基準の変更
令和4年、公共用水および地下水の水質汚濁による、人の健康の保護に関する環境基準の項目である「六価クロム」について、環境基準値の変更を行いました。
(1)水質汚濁防止法施行規則(昭和46年総理府・通商産業省令第2号)の改正
水質汚濁防止法施行規則第9条の3第2項において定める地下水の水質の浄化措置命令に関する浄化基準のうち、「六価クロム化合物」について、0.02 mg/Lに改めることとしました。
環境省 「水質汚濁防止法施行規則等の一部を改正する省令の公布について」より引用
<令和3年10月改正、令和4年4月施行>
公共用水域の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準及び地下水の水質汚濁に係る環境基準の六価クロムの基準値が、0.05 mg/L以下から0.02 mg/L以下に改正された。
国土交通省 「六価クロム化合物に係る基準の見直しについて」より引用
「なるほど。」
六価クロムによる土壌汚染とその対策を過去から学ぶ
昭和40年代から50年代にかけて、日本化学工業(株)という会社が、六価クロムを含む廃棄物を東京都の江東区や江戸川区に捨てていました。このことで土壌汚染が発生し、大きな問題となりました。
汚染への対応
【初期の対応】1971年、江東区が六価クロム汚染を発見し、会社と東京都に対策を求めました。1973年には東京都も調査を始め、1975年には緊急対策本部を設置して土壌や水の調査、住民の健康診断を行いました。
【処理の協定】1979年、東京都と日本化学工業(株)は、六価クロムの廃棄物を処理する協定を結びました。その結果、江東区内の3つの場所で処理が行われ、2000年に完了しました。
土壌汚染対策
【汚染が見つかった場所】1973年、東京都が購入した土地で大量の六価クロムが見つかりました。1975年には東京都が会社に損害賠償を求めて訴訟を起こし、1986年に和解しました。また、他の汚染地についても協定を結び、恒久的な処理を行いました。
【処理の実施】1980年から2001年にかけて、5つの場所で六価クロムの処理が行われました。これらの場所では、六価クロムを封じ込めて安全に処理しました。
現在の状況
【定期的なモニタリング】汚染が再発しないように、定期的に空気や水の六価クロム濃度を測定しています。その結果、現在は安全なレベルに保たれています。
【保守管理】東京都は定期的に処理地の点検や清掃を行い、必要に応じて設備の修理や改良を行っています。
「一度土壌汚染すると、とんでもないことになりますね。」
まとめ
「いかがでしたでしょうか。六価クロムについて解説しました。」
「はい。よく分かりました。」
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