水道水内の残留塩素とその酸化作用

作成日 : 2024-10-23

「水道水の残留塩素って。塩素が水道水に残留しているって解釈でいいですか。」

「確かに気になりますね。では、解説します。」

まずは自己紹介

弊社、株式会社メイプル・リンクは、創業33年のセントラル浄水器メーカーです。セントラル浄水器『ソリューヴ』の企画・製造・販売を行なっております。長年セントラル浄水器の販売を行なっている弊社が、気になる疑問についてお応えします。

残留塩素の役割とは？

水道水の安全性を確保するためには、微生物やウイルスによる汚染を防ぐことが不可欠です。残留塩素は、この水道水の消毒を行うために投入されるもので、病原菌を殺菌する効果があります。水源から取り入れられた水には、河川や湖、地下水などから引き込まれた天然の水が使われますが、そのままでは病原菌やウイルスが含まれている可能性があります。

塩素は、これらの病原微生物を破壊するために水道処理場で加えられます。塩素が水に溶けると次亜塩素酸（HOCl）や次亜塩素酸イオン（OCl-）という化学物質に変わり、これが細胞膜を破壊したり、細胞内の酵素を無効にしたりすることで、細菌を死滅させます。このプロセスを通じて、私たちは日常的に安全な水道水を利用できるということです。

日本の水道水には、厚生労働省の定める基準によって、一定量の塩素が含まれています。具体的には、遊離残留塩素で0.1 mg/L以上、結合残留塩素で0.4 mg/L以上の濃度が保持されています。これにより、給水時にも細菌の増殖が抑制され、安全な水が家庭に供給されるということです。

「なるほど。」

残留塩素の酸化作用とその影響

塩素の持つ酸化作用は、消毒効果を発揮する一方で、金属やその他の物質に対しても影響を及ぼします。酸化作用とは、物質が酸素と結びついて変質する現象で、金属の腐食や、プラスチックの劣化を引き起こす原因になります。

例えば、家庭内の水道管や蛇口、給湯器の内部には金属が使われていますが、水道水中の残留塩素がこれらの金属と接触すると、酸化反応が進み、腐食が発生します。この腐食が進行すると、金属製の水道管が劣化し、水漏れの原因となることがあります。特に古い配管や器具を使用している家庭では、この影響がより顕著になることがあります。

また、家庭で使われる調理器具や家電製品も、塩素の酸化作用によって長期的に劣化することがあり、寿命が短くなる場合があります。特に炭素鋼やステンレス鋼などの金属は塩素の影響を受けやすく、腐食が進むと表面に錆が生じ、見た目が悪くなるだけでなく、器具そのものの機能も低下します。

「そうなんですね。」

残留塩素が人体に与える影響

残留塩素の酸化作用は、私たちの身体に直接影響を及ぼすのでしょうか？塩素自体は消毒効果を持つため、一定の濃度であれば人体にとって大きな危険はありません。しかし、塩素が水中の有機物と反応して生成される「トリハロメタン」という副生成物には、注意が必要です

トリハロメタンは発がん性が指摘されている化学物質であり、長期間にわたって高濃度のトリハロメタンを摂取することが、健康リスクを高める可能性があります。特にトリハロメタンは温水で生成されやすいため、シャワーやお風呂での塩素吸入も一部で懸念されています。

さらに、残留塩素そのものが原因で水の味や匂いが悪化し、特に敏感な方にとっては不快に感じることがあります。特に飲み水や料理に使う水では、塩素臭が気になることがあり、そのために浄水器を使用する家庭も少なくありません。

「トリハロメタンは昔からよく言われていますよね。」

【気になる発がん性】水道水内のトリハロメタンについて調べてみた

消費者が浄水器を選ぶ理由

浄水器を導入する理由として、多くの消費者が挙げるのは「水の味や匂いを改善したい」という点です。残留塩素による消毒効果は重要ですが、味覚や嗅覚に影響を与えるため、美味しい水を求める消費者にとってはネガティブな要因となり得ます。

また、トリハロメタンや他の化学物質を除去するために、浄水器を導入するケースも増えています。特に、小さな子どもがいる家庭や、高齢者がいる家庭では、健康への配慮として浄水器の利用が考慮されることが多いです。現代では、手軽に取り付けられる浄水器やフィルターも多く、導入のハードルが低くなっています。

残留塩素が水の味に与える影響とは？

「そうなんですね。」

浄水器の選び方とその効果

浄水器には、様々な種類があり、それぞれのフィルターが持つ特性によって除去できる物質が異なります。残留塩素やトリハロメタンなどの化学物質を取り除きたい場合、次のような浄水器が考えられます。

活性炭フィルター

活性炭は、残留塩素やトリハロメタンなどの有機化合物を吸着し除去する力を持っています。特に、塩素臭を軽減する効果が高く、家庭用のシンプルな浄水器に広く採用されています。味や匂いを改善するだけでなく、微量な化学物質の除去にも効果的です。

逆浸透膜（RO）フィルター

ROフィルターは、水を分子レベルでろ過し、ほとんどの不純物を取り除くことができます。逆浸透膜は非常に細かいフィルターを使用するため、ろ過速度が遅い場合もあります。

「なるほど。」

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残留塩素のメリットとデメリット

残留塩素は、私たちの健康を守るための重要な役割を担っています。水道水を安全に保ち、感染症のリスクを減らすという大きなメリットがある一方で、味や匂いに影響を与え、金属の腐食を引き起こす酸化作用がデメリットとして挙げられます。また、トリハロメタンなどの化学物質が健康に与えるリスクも、消費者が考慮すべき点です。

浄水器の使用は、これらのデメリットを最小限に抑え、家庭でより安全で美味しい水を使用するための有効な手段です。しかし、浄水器の導入には費用がかかるため、各家庭のニーズや予算に応じて適切な製品を選ぶことが重要です。

水道水に含まれる残留塩素は、私たちの生活において欠かせない役割を果たしていますが、その酸化作用がもたらす影響についても理解しておくことが大切です。健康や生活用品、配管の長寿命化を考慮して、浄水器を導入することは、日常生活の質を向上させるための一つの選択肢です。

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まとめ

「いかがでしたでしょうか。水道水内の残留塩素とその酸化作用について解説しました。」

「はい。よく分かりました。」