TDSって何?水道水のミネラル分も不純物?
「TDSってなんでしょうか。「純水」の不純物判定で見たりするんですが。」
「確かに気になりますね。では、解説します。」
まずは自己紹介
弊社、株式会社メイプル・リンクは、創業33年のセントラル浄水器メーカーです。セントラル浄水器『ソリューヴ』の企画・製造・販売を行なっております。長年セントラル浄水器の販売を行なっている弊社が、気になる疑問についてお応えします。
TDSとは何か?
TDSとは、水に溶け込んだ無機塩類や有機物の総量を指します。主な成分には、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、重炭酸塩、塩化物、硫酸塩などが含まれます。これらは水に電気を通す性質を持っており、TDSメーターなどの測定器で電気伝導度を利用してその濃度が測定されます。一般的に、TDSの値が高いほど、溶解している物質の量が多いことを意味しますが、そのすべてが「不純物」や「有害物質」というわけではありません。
「なるほど。」
TDSと水の清潔さの関係
TDSの数値が高いと、しばしば「水が汚れている」という印象を持たれがちですが、これは必ずしも正確な認識ではありません。TDSは水中に含まれるすべての溶解物質を測定するため、ミネラル分も含まれます。例えば、カルシウムやマグネシウムは、硬度を高めるミネラルであり、健康にとって重要な成分です。これらのミネラルが多く含まれている水は、TDS値が高くなることが予想されます。しかし、この場合、TDSの値が高いからといって水が汚れているわけではありません。むしろ、こうしたミネラルは、水の味を豊かにし、健康にも良い影響を与える要素とされています。
「ミネラル分まで除去するっていうのは…。仕様目的によっては不純物っていうだけで、人にとっては不純物ではないですからね。純水って言われると綺麗なイメージですけど、言ってしまえばゼロってことですよね。『何もない』ってことだと。」
活性炭浄水器と逆浸透膜浄水器の比較
水質を改善するために使用される浄水器には、さまざまな種類がありますが、その中でも「活性炭浄水器」と「逆浸透膜(RO)浄水器」がよく知られています。これらの浄水器は、TDSの除去に対して異なる特性を持っています。
活性炭浄水器
活性炭浄水器は、主に水に含まれる塩素やトリハロメタンなどの有害物質や異臭・異味の原因となる成分を除去することを目的としています。活性炭の微細な孔がこれらの不純物を吸着し、水の味や匂いを改善します。しかし、ミネラル分などの無機塩類はそのまま残るため、TDS値にはあまり影響を与えません。したがって、活性炭浄水器で処理された水は、TDS値が比較的高いままであることが一般的です。
逆浸透膜浄水器
逆浸透膜(RO)浄水器は、非常に微細な孔を持つ膜を通して水をろ過することで、ほとんどすべての不純物を除去します。この過程で、ミネラル分もほぼ完全に除去されるため、TDS値はほぼゼロに近づきます。逆浸透膜浄水器は、海水を真水に変える際や、汚染がひどい水源での利用が適しており、その浄水能力は非常に高いものの、飲用水としての嗜好性には欠ける場合があります。逆浸透膜浄水器で生成された水は、ミネラルがほとんど含まれていないため、味が淡白であり、健康的な観点からもミネラルの不足が懸念されます。
「なるほど。」
ミネラルの重要性
私たちの体は、水分だけでなく、水に含まれるミネラルも必要としています。特に、カルシウムやマグネシウムは、骨や歯の健康維持、神経や筋肉の機能調整に欠かせない成分です。逆浸透膜浄水器によって生成された超純水は、ミネラルが除去されているため、こうしたミネラルの補給ができません。水の美味しさを決定するのも、実はこのミネラルのバランスであり、適度なミネラル分を含んだ水が、私たちにとって最も自然で美味しいと感じられるのです。
そのため、逆浸透膜浄水器で生成された水を飲用する際には、後からミネラルを添加することが推奨されています。実際に、日本でRO水を提供している一部の企業では、浄水後にミネラルを加えて製品化している例もあります。
「そうなんですね。」
TDSメーター商法への注意
TDSメーターを利用した商法に対しても、注意が必要です。TDSメーターは、電気伝導度を測定することでTDS値を示しますが、その数値が高いからといって、直ちに水が「汚れている」わけではありません。しかし、一部の業者がTDSメーターを使って水質検査を行い、「TDS値が高い=不純物が多い=汚れた水」という誤解を与えるような説明をして、消費者に不安を煽るケースがあります。こうした手法は、消費者を誤った方向に導く可能性があるため、注意が必要です。
TDSメーターで測定できるのは、主に水に溶解している無機塩類の総量です。有害な農薬やウイルス、トリハロメタン、遊離残留塩素などの物質は測定できないため、TDS値だけで水質の良し悪しを判断することはできません。特に、ミネラル分が豊富な水はTDS値が高くなる傾向がありますが、これはむしろ健康に良い水である場合もあります。
「冷静に判断したいですね。そもそも一般的に販売されいる浄水器のほとんどが活性炭仕様なのには理由がありますよね。浄水器の目的は人が使う生活水ですから、水分中の必須ミネラルが不純物かどうかもわかりますよね。それを言い出すと、ミネラルウォーターはどうなるんでしょうかという話になります。」
選び方
水の選び方には注意が必要です。TDS値が低いからといって、その水が必ずしも健康的であるとは限りません。逆に、TDS値が高いからといって、すべてが悪いわけでもありません。重要なのは、TDS値だけにとらわれず、水に含まれる成分やそのバランスを総合的に判断することです。
また、浄水器の選択においても、自分の生活スタイルや必要性に応じて適切なものを選ぶことが大切です。例えば、ミネラルを残したまま水をろ過したい場合は、活性炭浄水器が適していますが、徹底的に不純物を除去したい場合は逆浸透膜浄水器が良いでしょう。ただし、後者を使用する場合には、ミネラル不足に注意し、適切にミネラルを補給する方法を考える必要があります。
TDSは水質評価の一つの指標
TDSは水質を評価するための一つの指標に過ぎません。TDS値が示すのは、水中に溶け込んでいる無機塩類や有機物の総量であり、その数値が高いからといって必ずしも「悪い水」であるとは限りません。特にミネラル分が多い水は、TDS値が高くなる傾向がありますが、これは健康にとって重要な要素です。
消費者としては、TDSメーター商法などに惑わされず、水の選び方に慎重になるべきです。水に含まれる成分やそのバランスを考慮し、自分にとって最適な水を選ぶことが、健康で快適な生活を送るための鍵となります。
「産業用途の洗浄などで考えれば、確かにミネラルは不純物だと思います。洗浄するのが目的ですから。でも、一般的な生活水に使う浄水器は、「人間にとっての不純物」を最大限除去できるかという部分が目的ですからね。」
まとめ
「いかがでしたでしょうか。TDSについて解説しました。」
「はい。よく分かりました。」
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