【マンション貯水槽】清掃管理意識調査とは?
「マンションにセントラル浄水器をつけようと思っています。築年数の古いマンションで貯水槽を使っていることもあって、自分の住まいだけはきちんと浄水したいというのが理由なんですが。そもそも、マンションの貯水槽管理って施設側で管理するんですよね。その辺って見えにくい部分なので、少し気になりました。」
「確かに、管理側でないと見えにくい部分ですね。マンションの貯水槽管理に関して興味深い調査報告があります。少し古いデータにはなりますが、令和に入ってからの資料でも参考資料とされているものなので、実際にみてみましょう。」
まずは自己紹介
弊社、株式会社メイプル・リンクは、創業33年のセントラル浄水器メーカーです。セントラル浄水器『ソリューヴ』の企画・製造・販売を行なっております。長年セントラル浄水器の販売を行なっている弊社が、気になる疑問についてお応えします。
マンション貯水槽(受水槽)の管理は、施設管理者側が行う
「まずは、他のページでも解説していますが、貯水槽の基本的な部分をおさらいします。」
マンションなどの集合住宅では、一般的な戸建て住宅とは異なり水道水が供給される仕組みが異なります。戸建てでは家庭内につながる給水管へ直結されますが、マンションなどの集合住宅の給水方式はいくつかあります。
その中でも、今まで多くのマンションで採用されていたのが受水槽(貯水槽)型の給水設備です。これは、配水管を通ってきた水道水を一旦受水槽(貯水槽)に貯め、各住戸に給水するシステムです。古いタイプのマンションなどは、施設内に給水するための圧力が弱かったため、屋上などの高い場所にポンプで揚水し、重力の力を借りて給水する「高置水槽方式」がその多くを占めていました。
築年数の古いマンションでは、まだ現役で使われています。
受水槽(貯水槽)の管理が不十分で不衛生
水道メーターから先の管理は、施設側の責任で行われることが定められており、受水槽(貯水槽)の水質管理は、マンションの所有者や管理組合が行うことになります。そのため、点検や清掃が不十分であったり、受水槽(貯水槽)自体の劣化などによる水の濁りやサビ・ゴミ、藻の発生などの問題点がありました。また、受水槽(貯水槽)内部の錆止め剤等の臭いが付着することもあります。
加えて、受水槽(貯水槽)の容量がマンション全体の水道使用量に比べ大きいと、水道水の滞留時間が長くなります。つまり、水が流れず止まっている時間が長いと水質悪化の原因となり、残留塩素の濃度も下がりますので、このようなことも保険衛生上の観点で問題となっていました。
簡易専用水道については、水道法に基づき、その設置者は毎年定期的に管理状況等についての検査を受けなければならないこととされており、管理基準に適合していない場合は、都道府県知事及びすべての市長等は設置者に対し必要な措置を指示することができるとされている。
現在は新しい給水方式のマンションが主流
最近では、各自治体においても「直結給水方式」の給水設備が広く推奨されており、これまでのように一旦水道水を貯めるのではなく、各住戸に直接給水できるような設備が標準になってきました。また、増圧ポンプを設置した「増圧直結給水方式」の設備を導入している大規模なマンションも増えており、これまでよりも安定的な給水が可能になってきています。
※清掃前の貯水槽内の画像(弊社資料)
受水槽(貯水槽)方式は、維持メンテナンスの問題がある一方で、災害時・緊急時の断水による給水が可能なため、いざという時の備えのためにはメリットがあることも事実です。昨今の地震による震災の状況を考えると、そのような備えはとても大切になります。
「うちは、築年年数の古いマンションをリノベーションしているので、貯水槽ですね。」
毎年一度の検査機関の検査が義務
「毎年、定期的な管理を義務付けられており、令和元年の受検状況も公表されています。」
簡易専用水道の管理の検査の受検状況は、令和元年度は78.4%であった。簡易専用水道の検査において指摘のあった施設の割合は23.0%であり、特に衛生上問題があったために報告された割合は0.7%であった。
— 中略 —
厚生労働省が毎年実施している水道水質関連調査の結果においては、簡易専用水道の受検情報自体を把握できていないと思われるデータも散見されており、貯水槽水道への指導が十分に実施できていない可能性がある。
なお、平成18年3月に貯水槽水道に関する管理運営マニュアルが作成されているので、参考とされたい。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/suishitsu/04_01.html
簡易専用水道とは?
ビルやマンションなど、中高層の建物の多くは貯水槽を使用しています。その管理状況が悪いと水質の悪化を招くため、設置者が責任をもって管理しなければなりません。貯水槽の容量により水道法の規制を受ける場合があります。
簡易専用水道とは
水道水のみを水源として、その水をいったん貯水槽にためてから給水する水道のうち、貯水槽の有効容量が10立方メートルを超えるものは、水道法に規定される「簡易専用水道」にあたります。ただし、工場に設置しているなど、まったく飲み水として使用しない場合は簡易専用水道には該当しません。
— 中略 —
簡易専用水道の設置者は、毎年1度、厚生労働大臣の登録を受けた検査機関に依頼して検査(有料)を受けなければなりません。
目黒区webページ 「ビルやマンションなどの貯水槽の衛生管理(簡易専用水道)」より引用
東京都福祉保健局 「簡易専用水道の衛生管理」参照
先ほどの資料にも、参考資料として記載されていた平成18年3月の管理運営マニュアルに、「マンションの管理状況に関する研究」というレポートが公表されています。
「なるほど。」
マンションの管理状況に関する研究
この調査概要は以下の通りです。
貯水槽水道の管理責任は、その設置者又は所有者にあることが水道法に規定されているが、この点についての意識を調査するために全国レベルでのアンケート調査を実施した。
調査の概要
調査票計500通が(社)高層住宅管理業協会から会員各社へ一括送付され、回収数合計459(回答率91.8%)。調査に回答したマンションの総戸数は、18,265戸でした。この他にも、小規模施設の調査も同時に行われた模様です。
「で、どんなアンケート調査だったんでしょうか。」
「全てではありませんが、以下にまとめました。」
調査結果
「マンションに貯水槽水道があることを知っていますか」:
● 知っている — 428 (95.5%)
● 知らない — 20 (4.5%)
「貯水槽水道の管理は管理組合が行うことを知っていますか」:
● 知っている — 393 (86.6%)
● 知らない — 61 (13.4%)
「貯水槽水道の管理を行っていますか」:
● 実施 — 439 (97.6%)
● 実施せず — 11 (2.4%)
「なぜ管理を行わないのですか」:
● 問題ないと考える — 5
● 指導されていない — 5
「貯水槽水道の検査を受けていますか」:
● 受けている — 423 (95.7%)
● 受けてない — 19 (4.3%)
「貯水槽水道の清掃を行っていますか」:
● 実施している — 437 (98.2%)
● 実施してない — 8 (1.8%)
「清掃を行わない理由」:
● 問題ないと考えた — 3
● 指導されていない — 4
● その他 — 1
「その他の意見」:
● 法律的に決められていることは知らなかった
● 飲み水は購入し水道水は引用とせず
● 検査の実施について不明
● マンション維持に負担が大きい。管理費が嵩む
● 検査や清掃の内容すらわからず、評価以前
— 中略 —
「考察」:
今回の調査は、マンションの管理を専門の管理会社が受託している管理組合を対象としたため、大部分で検査及び清掃を実施していた。しかし、専門会社が管理していてもなお飲料水管理の必要性について認識していない組合が全体で13.4%あり、意識の高揚について方策を講ずる必要があるものと考えられた。
「この調査は、マンション管理を受託している会社、いわゆる専門家への調査とすると、専門家へ依頼していないマンションもあるだろうし、すでに10%は無回答ということを考えると、色々考えるところがありますね。」
「このデータ自体は、古いものですが、先ほどの令和に入ってからを見てみても、気になる調査内容でした。」
「やはり、浄水器などの自己防衛手段は検討して良いかもしれませんね。周りを変えるより、自分を変えた方が早いですから。」
まとめ
「いかがでしたでしょうか。マンション管理側の意識に注目したユニークな報告なので取り上げてみました。」
「貯水槽の管理って、住民側には見えにくいので、こういった情報は貴重ですね。」
「弊社は、住まいの大元に設置するセントラル浄水器『ソリューヴ』を提供しておりますが、マンションなどの集合住宅でも多くの導入実績があります。是非ご覧いただければと思います。」
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