【水道民営化】世界の国別水道民化率ってどのくらい?
「宮城県の水道民営化がニュースになりましたが、そもそも日本以外の国の水道民営化の比率ってどのくらいなんでしょうか?」
「気になりますね。厚生労働省の資料がありましたのでそちらを見てみましょう。」
まずは弊社のご紹介
弊社、株式会社メイプル・リンクは、創業33年のセントラル浄水器メーカーです。セントラル浄水器『ソリューヴ』の企画・製造・販売を行なっております。長年セントラル浄水器の販売を行なっている弊社が、気になる疑問についてお応えします。
世界の地域別水道事業民営化率
厚生労働省の「世界の地域別水道事業民営化率」を見てみると、地域によってかなりばらつきがあります。英国やフランスなどの民営化率が圧倒的に高く、それに比べると日本の割合が低いことがわかります。
厚生労働省資料 「国際化」より引用
「水道民営化に関しては議論がありますからね。消費者レベルで考えると、民営化になることによって、水道料金が高くなるのではないか。サービスの劣化が起きるのではないか。何がどうなるかが見えないのが正直なところです。国民一律に提供されるべき水道インフラが営利事業のもとに運営されることへの懸念はありますよね。」
「水道事業の人材不足。人口減による需要の問題。水道管の老朽化など永続的なメンテナンスの問題など様々な課題を抱えている中で、民営化が議論されてきましたが、一方で、フランスのパリなどでは、一旦民営化したものの、後になって公営化に戻した事例もあるようです。」
「そうなんですか。それは気になりますね。」
【フランス/パリ】民営から公営に戻った事例
以下の表は、フランス給水人口上位10都市の民間事業者との契約更新の状況を示したものです。
厚生労働省資料 「海外の水道事業における民間活用の状況等について」より引用
「本当ですね。民営化後に再度公営化してしている事例がいくつかありますね。理由が気になります。」
再公営化の理由は「水道料金の高騰」など
以下の表は、公営化後の主な課題です。地域でパリ(フランス)が該当する欄を見てみると、課題とその対応策などがわかります。主に民営化にともなう、水道料金の高騰、管理運営サービスの低下、設備投資の不履行、監査モニタリングの体制の不備などがあげられます。
厚生労働省資料 「海外の水道事業における民間活用の状況等について」より引用
「これをみるとフランスのパリだけではなく、そのほかの地域でも再公営化になっている事例がありますね。水道は毎日使いますから、水道料金の高騰は響きますよね…。料金が高くなってサービスが劣化したら、何が良いのか全くわからないです。」
「先程の「給水人口上位10都市の契約更新の状況」では民間契約更新している事例もあり、全てにおいて民営化が良くないという見方は一方的な気もしますが、実際の生活が置き換わることを考えると、当然の反応だと思います。」
「民営化に関しては、それぞれのポジションがありますからね。わからない部分を多いです。」
そもそも民営化の定義とは?
民営化というと全ての事業を民間に渡すイメージがありますが、以下の引用からフランスの事例をみると、いくつかのパターンがあることがわかります。完全に民間に丸投げする施策がある一方、施設などのハード部分以外のサービスや運営部分の管理を民間化するケースなどです。
フランスでは、かねてより上下水道の料金収受(需要リスク)を民間に委ねる形の民間委託が盛んで、長い歴史がある。公民連携のスキームとしては、アフェルマージュという方式が最も一般的だ(下図「フランスにおける 公役務の委任(DSP)の類型」参照)
そして、今話題になっている「再公営化」という言葉についてだが、フランスで言う「再公営化」とは「料金収受(需要リスク)を公共へ移すこと」のみを言う。パリ市のケースも、下図のように「再公営化」とは言っても100%の直営ではなく、料金収受を公共に戻した上で、民間企業に一部業務委託がなされている
日経BP総合研究所 「フランス・パリ市の水道事業、「再公営化」の真実」より引用
「都市部や地方などの地域によっても、水道需要や設備や環境も異なりますし、同じ施策が良いとはならないですよね。とにかく、安全な水が今の負担感(コスト感)で使えて当たり前のところが出発地点ですから、当然その比較になりますね。」
「消費者目線ではそうなりますね。」
まとめ
「いかがでしたでしょうか。厚生労働省の資料を元に各国の民営化事例を見てきました。」
「私たちが日々使う水道の持続性を模索する上で、民営化という選択肢が出てきたんですけど、すでにある事例を見ると問題もありそうですね。今後も注視してきたいと思います。」
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