セントラル浄水器『ソリューヴ 』有機フッ素化合物PFOS及びPFOA除去性能試験
令和2年6月11日の環境省報道発表及び一部報道を受け、弊社ではセントラル浄水器『ソリューヴ』の有機フッ素化合物「PFOS及びPFOA」の除去試験を第三者検査機関を通して行いました。
「有機フッ素化合物(PFAS)」PFOSとPFOAとは?
有機フッ素化合物(PFAS)とは、耐熱性・耐油性・耐水性に優れた、ほとんど自然界に存在しない人工の化合物です。
主に焦げ付かないフライパンや炊飯釜、食品を包む包装用品、撥水加工の衣類、タッチスクリーンの表面処理、消化剤などに使われています。
外部からの耐性と環境残留性が強い特性もあり、「永遠の化学物質(フォーエバー・ケミカル)」とも言われており、特に有機フッ素化合物(PFAS)のうち、 PFOS(ピーフォス)及びPFOA(ピーフォア)については、国においても毒性の疑いがあることから、水道水質基準の要検討項目に位置づけられていました。
PFOS (ピーフォス / ペルフルオロオクタンスルホン酸)及びPFOA(ピーフォア / ペルフルオロオクタン酸)は、独特の性質(水や油をはじく、熱に強い、薬品に強い、光を吸収しない等)を持ち、撥水剤、表面処理剤、乳化剤、消火剤、コーティング剤等に用いられてきた化学物質です。
環境省令和元年度PFOS及びPFOA全国存在状況把握調査の結果についてより引用
PFOS(ピーフォス)は残留性有機汚染物質について定められた「ストックホルム条約」で国際的に製造・使用が制限されている。PFOA(ピーフォア)はWHO(世界保健機関)の外部機関が、発がん性の恐れがある物質に指定し、主要な化学メーカーは既に自主的に使用を廃止している。フッ素およびその化合物の人体の影響としては、一般的に、斑状歯、骨硬化症、甲状腺・腎障害などが懸念されている。しかしながら、極めて安定的な物質であるため、環境中でほとんど分解されず、いまのところ水中のフッ素イオンを90%以上の除去率で除去するためには、イオン交換樹脂か逆浸透膜を用いるしかない。—- 中略 —-
環境省は地下水の水質調査を強化する方針であり、厚生労働省はPFOS(ピーフォス)、PFOA(ピーフォア)を水道水の水質検査の項目に加えることを検討しているという。
yahooニュース「東京の水道原水から有機フッ素化合物 地下水汚染は時空を超える」より引用
有機フッ素化合物の1つ「PFOA(ピーフォア)」。20年ほど前まで、焦げ付かないフライパンや、水をはじく服など身近なものから、自動車、半導体まで、幅広い用途に使われていました。自然界ではほとんど分解されないため、工場などから漏れ出したこの物質が、今も環境中に残り、水を汚染。それを長期的に飲んだ人の中に、がんなどの健康被害を訴える人が出てきています。
NHKクローズアップ現代「化学物質“水汚染”リスクとどう向き合うか」より引用
環境省の発表とは?
環境省は、令和2年6月11日、「有機フッ素化合物」PFOS及びPFOAの2物質の汚染状況を把握するため、初の全国規模の調査を行いその内容を公開しました。
環境省令和元年度PFOS及びPFOA全国存在状況把握調査の結果について
その概要は、全国計171地点の地下水などの含有量を調査した結果を公表。13都府県の37地点で国の暫定的な目標値(PFOS及びPFOAの合算値で50ng/L)を超え、東京都や沖縄県の在日米軍基地や工業地帯の周辺の河川・地下水・湧水など、全国的な汚染状況が報告されました。
今回の調査で、最も汚染が深刻だったのは大阪府摂津市で1855.6 ng/Lと基準値の50ng/Lと比べ、とても高い数値だったことがうかがえます。尚、東京都でも渋谷区、立川市、府中市、練馬区、大田区など、基準値を超える値が検出されました。以下のリンクがその地域一覧になります。
【追記】令和2年度有機フッ素化合物全国存在状況把握調査の結果について
令和3年6月22日、昨年に続き新しく「令和2年度有機フッ素化合物全国存在状況把握調査の結果について」の報道発表がされました。
調査結果概要は以下の通りです。
要監視項目 PFOS及びPFOA
調査を実施した143地点のうち、12都府県の21地点において水環境の暫定的な目標値(PFOS及びPFOAの合算値で50ng/L)の超過が確認されました。なお、暫定的な目標値を超過した地下水・湧水は、いずれも飲用用途の水ではありませんでした。
要調査項目 PFHxS
調査を実施した47地点のうち36都道府県の36地点において0.1ng/L(報告下限値)以上の検出を確認し、最大値は28ng/Lでした。
環境省報道発表資料 「令和2年度有機フッ素化合物全国存在状況把握調査の結果について」より引用
令和2年度有機フッ素化合物全国存在状況把握調査の結果について
セントラル浄水器『ソリューヴ』の除去試験を行った経緯
この度の環境省報道発表を受け、弊社では、独自に第三者検査機関を通して、自己認証製品であるセントラル浄水器『ソリューヴ』のPFOS及びPFOA除去性能試験を行いました。
環境省では、今回目標値を超えた地下水・湧水は飲用用途の水ではないとしておりましたが、「生活水全体の浄水」を提案するメーカーとして、今回の試験は、弊社セントラル浄水器『ソリューヴ』のPFOS及びPFOAに対する除去性能を把握することを目的に行ったものです。
なお、暫定的な目標値を超過した地下水・湧水は、いずれも飲用用途の水ではありませんでしたが、関係地方公共団体に対し、井戸の所有者等への飲用に関する注意喚起を依頼しました。
環境省令和元年度PFOS及びPFOA全国存在状況把握調査の結果についてより引用
また、現時点での「有機フッ素化合物(PFAS)」(PFOA/PFOS)への対策として活性炭フィルターが効果的であることが報告されており、アメリカの非営利環境保護団体である環境ワーキンググループ(EWG)では、有機フッ素化合物(PFAS)により汚染された飲料水について、粒状活性炭・イオン交換・逆浸透膜フィルターの仕様を推奨しています。
- ※参考文献 「永遠の化学物質水のPFAS汚染」 岩波書店
Current options for drinking water treatment technologies to remove PFAS include granular activated carbon, ion exchange and reverse osmosis. Of these, granular activated carbon, or GAC, is the most common, with many water treatment facilities already using it to remove other contaminants.
PFASを除去するための飲料水処理技術の現在の選択肢には、粒状活性炭、イオン交換、逆浸透膜などがあります。これらのうち、粒状活性炭(GAC)が最も一般的で、多くの水処理施設ではすでに他の汚染物質を除去するために使用されています。
— 中略 —
Reverse osmosis is the most effective technology, but it is also the most expensive. Ion exchange is a newer technology for PFAS removal, with a limited number of current installations.
逆浸透膜は最も効果的な技術ですが、最も高価な技術でもあります。イオン交換はPFAS除去のための新しい技術で、現在の設置数は限られています。
「PFAS Contamination of Drinking Water Far More Prevalent Than Previously Reported」より引用
那覇市などに飲料水を供給する沖縄最大の浄水場。3年前から1億7,000万円をかけて、独自にPFOAなどの除去を行っています。使っているのは活性炭です。「活性炭というのは、無数の穴があいていて、その穴にPFOS・PFOAが入り込むことで除去される。」
「NHKクローズアップ現代 化学物質“水汚染” リスクとどう向き合うか」より引用
試験概要
検体に, パーフルオロオクタン酸(以下「PFOA」という。 )及びパーフルオロオクタンスルホン酸(以下「PFOS」という。 )をそれぞれ約50 ng/L, 合計濃度として約100ng/Lとなるように調製した原水を通水し, 得られた通過水及び原水についてPFOA及びPFOSを測定した。なお, PFOSは異性体を含めて定量した。
試験結果
通過水量 | 動水圧(MPa) | 水温(℃) | 分析試験項目 | 結果(ng/L) | 除去率(%) | |
---|---|---|---|---|---|---|
結果(ng/L) 通過水 | 結果(ng/L)原水 | |||||
10分間通水後 | 0.02 | 21 | PFOA | 検出せず | 52 | 99以上 |
PFOS | 検出せず | 60 | 99以上 |
※PDF資料をご覧頂けます。以下をクリックして下さい。
結論
セントラル浄水器『ソリューヴ』の有機フッ素化合物PFOA及びPFOS除去性能試験結果は、PFOA及びPFOS共に除去率99%以上。セントラル浄水器『ソリューヴ』を通して浄水した水道水にはPFOA及びPFOSは「検出せず」という結果になりました。